近年著しい発展を遂げるスポーツ科学、日本でもラグビーを筆頭にこの分野での発展が近年勢いを増している。
その中、比較的スポーツ科学の研究という領域においては後発と言われるバスケにおいて、先日オクラホマシティー・サンダーが豪州にあるシドニー工科大と一緒に同分野における簡易的な研究レポートを共同で発表した。
(レポートリンク: https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2021.793216/full?&utm_source=Email_to_authors_&utm_medium=Email&utm_content=T1_11.5e1_author&utm_campaign=Email_publication&field=&journalName=Frontiers_in_Psychology&id=793216)
NBAの選手データを活用したトラッキングデバイスを用いたレポートとしては世界初のものとなり、今後も斯様な研究がより多く行われることが想像される。
今回はそのレポート要点について以下の通り簡単に纏めさせて、皆に共有させていただく。 これのみが結論ではないが、運動量負荷(=選手の体にかかる負担)という観点では、練習量でなく、試合の出場時間こそが最も大きな影響を及ぼしていると今回の研究結果からは言えそうだ。
<研究要点>
1) 研究背景:
Kinexonをはじめとするトラッキングデバイスの発展により、選手の運動量、運動負荷を客観的に取れるようになった今、①試合・②チーム練習・③個人練習の全てからなる運動量データを集計すると、どのようなことが分かるかを測るため。(注:筋トレなど、コート外でのトレーニングは含めず)
2)研究対象:
2017年-18年にチームに所属した選手を対象に行っており、3つの分類をもうけ、これらを元に分析を行った。 ① NBAの在籍年数 (1-2年、3-5年、6-9年、10年以上)
② ポジション (フロンコート、バックコート) ③ 役割 (スタメン、ローテーションプレイヤー、ベンチ)
3)研究結果:
①「活動時間(=試合でコートで「実際にプレー」した時間+練習で「活動」した時間)」は、NBAでのプレー年数が少なければ少ないほど多い傾向にある。一方、そのチームにおける立場(スタメン、ローテーション選手、ベンチ)は活動時間との相関は少なく、総活動時間は皆ほぼ横並びで、平均して7時間/週程度だった。 (注:ベンチの選手は試合でのプレー時間は少ない分、練習での活動時間が多い。また、若手選手の方が個人練習を行う傾向にあるため、活動時間が長くなるものと類推される。) ② 累計運動強度(インテンシティー)は、経験年数とは相関なく、夫々がコート上でプレーした時間と比例する。よって、スタメン選手が最も運動強度(=体への負荷)が大きく、ベンチ選手はその傾向が小さくなる。 (注:練習時間含めた合計活動時間が同じであっても、試合と練習における練習強度には大きな開きがあるため)
<研究時の運動強度・活動時間と、それぞれの役割の相関を示すグラフ>
③ ポジション(フロントコート or バックコート)の違いによる、「活動時間」並びに「累計運動強度」との相関は見られず。よって、ポジションによって、負荷がかかりやすいなどは今回の研究からは発見できず。
以上、
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