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執筆者の写真Ador Bitaraf

NBA、ロードマネジメント(負荷管理)に関わるポリシー変更か


「ファンのエンターテインメントやチームの向上心の観点からも、選手が誇りを持って全試合に出場していた時代にNBAを戻したい」


ボストン・グローブ紙が現地時間14日(土)に発表した記事によると、NBAのバスケットボールオペレーション部門EVP(エグゼクティブ・バイス・プレジデント)であるジョー・デュマーズ氏が上記の通り現在のロードマネジメントにおけるポリシーの変更について言及したという。


▼今季以降の3つの強調ポイント


同紙によると、シュマーズ氏は今季以降の「3つの強調ポイント」として、以下を掲げているとのこと。

  1. ロードマネジメントの廃止

  2. オールスターゲームの改善と競争力の向上

  3. インシーズン・トーナメントの継続

デュマーズ氏とNBAのバスケットボール戦略&アナリティクス部門EVPであるエバン・ワッシュ氏は、「選手の試合出場に関する新しいルール」を強調するためにトレーニングキャンプ中に全30チームを訪れ、NBAが全82試合のシーズンであることを忠告し、全試合の出場を促した。


オールスターゲームに関しては、オールスターウィークエンド全体とのしてのエンターテインメント性が向上していると述べたうえで、オールスターゲーム自体は選手が怪我のリスクを考慮して手を抜く、「マーケティングとブランディングのショーケース」に変わっていると指摘した。オールスターゲームにおいては、「選手が前半をショーケースのために活用し、後半は勝敗を争う本気のプレーを見せることを望む」と言及している。


インシーズン・トーナメントに関しては、「リーグ内でより良い競争を作り出そうとしており、さらなる競争を作り出す未開発の機会があると思っている」と述べた。


▼ ロードマネジメントの廃止は機能するのか?


アスレチック誌は現地時間13日(金)、デュマーズ氏が先月の年次コーチ会議にて、「ロードマネジメントは意図どおりに機能していない」と切り出したうえで、「選手の試合における休養・欠場が、怪我や疲労などの軽減と相関関係にあることを示していない」いう研究結果を提示したことを報じた。


一方、NBAコーチの間では、リーグがビジネスの観点からロードマネジメントの廃止を推進していると不信感を抱いている者もおり、同案については賛否両論であると報じられている。


ロードマネジメントと怪我のリスク・疲労との相関関係においては、「怪我と回復の観点から、ロードマネジメントが意味をなすことが証明された多くの研究がある」と、その相関関係について肯定的なスタンスを持つNBAコーチがいる一方で、元NBAのスポーツサイエンス・ディレクターは、「ロードマネジメントに関連する科学は、いずれの方向にも確立されていない」と述べており、その見解が割れている。


□スポヲタ考察&メッセージ


NBAでは、2010年頃からロードマネジメントが導入されはじめ、その研究と処方が進む一方で、健康な選手を休ませることによるファンのエンターテインメントや、興行収入、放映権収入などのビジネス面に影響を及ぼしている現状が問題視されている。


特に放映権に関しては、2025年の契約終了に先駆け、リーグが既存の放映パートナーやその他メディア企業との契約に向けた話し合いなど、重要な局面を迎えるなかで、ビジネスを優先する関係者とロードマネジメントを推進するチーム関係者との間に利害の不一致が生じていることも事実だろう。


休養が必要のない選手にロードマネジメントを行使することに対するポリシーの精査は必要であると納得できるが、実際のとことロードマネジメントと怪我のリスク・疲労の軽減における相関関係についてはどの説が最有力なのだろうか。日本のスポーツチームで活躍するストレングス&コンディショニング部門関係者の見解を是非伺いたい。


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