ロードマネジメントは2010年頃にアメリカのプロバスケットボールリーグNBA(National Basketball Association)で考案されたアイディアであり、今回はその選手の健康管理法とスポーツアナリティクスとの関連性について取り上げていく。
「ロードマネジメント」とは?
長期間の疲労や怪我を避けるために、健康である選手に試合を休ませることである。そして、これらの決断はトラッキングデータを用いた分析を基に行われている。
スポーツ分析ソフトウェアによるデータの提供
スポーツ分析ソフトはセンサーやカメラを通じて、ゲームや練習中の選手の動き・動作に関するデータを収集しており、それらは主に以下3つのカテゴリーに分けることができる。
選手の運動量 スポーツ分析ソフトは選手のゲームや練習中の走行距離、スピードや加速度を測定することができる。このデータからコーチやトレーナーは選手たちがどれだけ全力でプレーしていたかがわかり、また、トレーニングや練習スケジュールの調整にも用いることができる。
選手にかかる負荷 スポーツ分析ソフトが提供する情報の1つとして、ゲームでプレーした時間や特定の期間で何試合プレーしたかがある。これらの情報によって、コーチやトレーナーがプレイヤーのローテーションや休息日を決断することができる。
怪我のリスク 上記2つのデータを計測・分析していくことで、プレイヤーが怪我のリスクにあるかどうかを判別することができる。例えば、一定期間の負荷が一貫して高くなっている場合、それは選手が追加の休息や練習量を減らす必要があるサインかもしれない。
スポーツデータ分析の重要性
バスケットボールは1試合1試合が選手にかなりの負荷がかかる競技であり、リーグによっては過密なスケジュールによって移動という負担も選手にかかる。また、年齢によって怪我のリスクも高まるものである。スポーツデータ分析を通じてコーチやトレーナーは有意義な情報を知ることができ、負荷が高まっている他のスポーツでも選手の身体にかかるストレスに注意を向ける必要があるだろう。
スポーツ分析とロードマネジメント
現在、多くのNBAやヨーロッパのプロチームに加えて、大学レベルでのトラッキングシステム導入が拡大している。その中で、NCAAトーナメント(アメリカの大学スポーツの優勝決定戦)にて昨年、チーム史上初めてベスト4にまで進出したマイアミ大学のバスケットボールチームもKINEXONを利用している。マイアミ大学のフィジカルセラピスト兼スポーツサイエンティストであるトミー・オットレイが、インタビューにてKINEXONの活用方法について以下のように答えている。
―データを用いることで得られるトレーニングへの利益は何ですか?
トミー:客観性を保てることに加えて、バックグランドや教育レベルに関係なく意思疎通ができると答えています。
―KINEXONはどのように役立っていますか?
トミー:私たちはKINEXON’s PERFORM IMUをフィードバックや先のプランを考えるのに使っています。1週間が始まる前にコート上で行うことの計画を立てて、1週間を通して計画と比べて実際にどうだったかを比較し調整しています。KINEXONのパフォーマンスデータはジャンプテストなどの他のモニタリング技術を補完し、選手のパフォーマンスをどう最適化するかの決定に役立っています。
―トレーニングプログラムの計画プロセスへの意見を聞かせてください。
トミー:まず、全員がどのように調整をしていくかについて同じビジョンを持つことが重要です。現在、私たちは過去のスケジュールに関するデータを持っています。そのため、それぞれの測定値が1週間という範囲でどのようになるか十分わかっています。そして、試合が多い週には、試合の前後でどのような練習をするべきかミーテイングを行います。コーチの試合への準備のアプローチを理解し、ひいては、どのようにそれを調整できるかを理解することは、シーズン中のトレーニング量や強度を修正するために重要です。
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