top of page
執筆者の写真Sporta Science

フランスバスケットボール連盟(FFBB)がKINEXON IMU & LPSを活用して才能を発見し、若手育成を最大化する方法とは?

更新日:2023年10月23日

スポーツテクノロジーがフランスバスケットボール連盟(以下、FFBB)において進化しています。スポーツパフォーマンススペシャリストのヤニス・イリッド氏とそのチームは、国立スポーツ体育研究所(以下、INSEP フランス)でKINEXONのPERFORM IMU(モバイルシステム)とLPS(常設システム)を使用して若手選手を育成し、ケガの予防を行い、トレーニングプランを個々の選手のニーズに合わせて調整しています。

イリッド氏は、FFBBと生物医学研究およびスポーツ疫学研究所との共同で博士論文も執筆しており、このプロセスについて説明し、KINEXONが才能評価にどのように役立つかを説明しています。

FFBBのパフォーマンススペシャリストであるヤニス・イリッド氏は、スポーツデータ分析を活用して選手の育成をサポートしています。


トニー・パーカー、ボリス・ディオウ、エヴァン・フォルニエなど、INSEP フランスの卒業生たちがNBAの元・現役スターとして輝く例がありますが、客観的な視点でプロになる可能性のある若手選手を特定することは、コーチやパフォーマンススタッフにとって非常に大きな課題です。

INSEP フランスを卒業した後にプロとして成功する選手はごく一部です。若手アスリートはスポーツと学業を両立しているため、厳しいスケジュールと膨大なワークロードが日常です。

これらの課題に対処するため、INSEP フランスのバスケットボール部門は2022年にKINEXONのLPSとIMU、つまり常設型およびモバイルシステムを導入しました。目標は負荷を定量化し、連続性を提供することでした。ホームゲームや練習のみではなく、遠征先でも計測できるシステムを探していた同機関にとって、KINEXONはフランス代表チームとのアウェーゲームやトレーニングキャンプにおいても最大の柔軟性と可動性を提供するシステムとなりました。

選手の育成にスポーツテクノロジーを活用する ヤニス・イリッド氏は、FFBBがKINEXONのPERFORM LPSとIMUを用いて、どのように若手アスリートの才能の評価と開発、若手選手の競技会への準備、そしてケガの予防にどのように活用しているかを説明しています。

―KINEXONのPERFORM LPSとIMUを2022年に導入し始めたそうですね。これらのテクノロジーはどのように役立っていますか?

イリッド: KINEXONのデバイスを使用することで、外的負荷を定量化し、アウェーゲーム時にも連続性を提供することができます。これにより、選手とコーチは客観的なパフォーマンスを観察することができます。最終的には、選手の疲労をモニタリングし、トレーニングスケジュールを調整し、過度の使用によるケガのリスクを減らすことができます。

さらに、選手の個別のニーズと目標に合わせてトレーニングを調整し、パフォーマンスを最適化し、選手の試合に向けた準備を進めることができます。徐々に選手の負荷を増やし、トレーニングにてゲームデマンド(試合の負荷)を再現することができます。

―データはどのように活用していますか?

イリッド: まず、私たちは選手のフィジカルフィットネスを含むパフォーマンスを客観的にモニタリングしています。パフォーマンスを追跡し、改善すべき点を特定することで、選手が最大の可能性を発揮できるようサポートしています。また、ケガの発生率やリスク要因のモニタリングを通してケガ予防プログラムを作成し、ケガのリスクが高い選手を特定することができます。

さらに、各選手の強みと弱みのデータ分析に基づいて、個別のトレーニングプログラムを処方しています。データを用いて若手選手の才能を発見し、育成することも可能であり、将来的にエリート選手に成長する可能性のある選手を見つけることができます。

―例を挙げるとすれば?

イリッド: ベンチ選手の試合出場機会が限られている場合、その選手に補完的なコンディショニングセッションを実施することができます。それはケガのリスクを減らし、肯定的な身体的適応を増強するのに役立ちます。

KINEXONの特徴

KINEXON PERFORMのIMU & LPSを使用することで、FFBBは以下の5つの領域でメリットを得ています。

  1. 運動の正確な測定:IMUセンサーは加速度、速度、位置の正確なデータを提供し、LPSは高精度の位置データを追加して、3次元空間で選手の動きを追跡します。

  2. 客観的なパフォーマンスモニタリング:IMUとLPSを使用して外的負荷を追跡することで、選手のトレーニングと試合の負荷を客観的に測定できます。疲労とトレーニングの進展をモニタリングし、スケジュールの調整について的確な判断を行うことができます。

  3. ケガ予防:両方のシステムを使用して外的負荷をモニタリングすることで、ケガのリスクが高まる可能性のある高負荷が蓄積する期間を特定することができます。負荷管理を調整することで、オーバーワークによるケガのリスクを減らし、選手の健康と持続性を向上させることができます。

  4. 個別化されたトレーニングプログラム:各選手の個別のニーズと目標に合わせてトレーニングプログラムを処方することができます。これによりパフォーマンスが最適化され、ケガのリスクが低減します。

  5. 試合の準備:IMUとLPSを使用することで、選手の負荷を徐々に増やし、ゲームデマンド(試合の負荷)を再現することができます。これにより選手は試合で最高のパフォーマンスを発揮することができます。

スポーツデータ分析がもたらすメリット ―スポーツデータの分析がもたらす利点について、パフォーマンスコーチやスポーツ科学者として、どのように見ていますか? イリッド: まず第一に、スポーツデータは選手のパフォーマンスに対する客観的な洞察を提供します。証拠に基づくアプローチをトレーニングやパフォーマンス管理に取り入れるための基盤となり、選手の進捗を追跡し、パターンや傾向を特定し、データに基づいた判断を行うことができます。 ―シニアチームとジュニアチームの間でシナジーを築いていますか? イリッド: フランス代表チームでプレーするプロ選手のデータも収集しており、特定のポジションに基づいて才能を発見し、基準を作成しています。これにより、将来的にエリート選手になる可能性のある選手を特定することができます。 選手の個別のパフォーマンスデータ(身体的特性、技術的なスキル、戦術的な理解など)の分析を行うことで、各ポジションに対する基準を作成し、個々の選手とチームのパフォーマンスを評価することができます。 ―バスケットボールにおける特定のゲームデマンド(試合の負荷)とは何であり、選手をできる限り準備するためのアプローチはどのようになっていますか? イリッド: バスケットボールは断続的なスポーツであり、選手は繰り返し高強度の動作を行う必要があります。例えば、方向転換やカット、短距離での速度変化、ポストアップやスクリーン、ボックスアウトなどの接触プレー、そして走ってジャンプするアクションなどがあります。これらの動作は、立位、歩行、走行、スプリントなどの運動負荷の間で行われます。 その結果、バスケットボールは力学的および生理学的に非常に激しいスポーツとなります。私たちは選手たちに試合で直面する負荷を経験させることを目指しています。技術スタッフとの緊密な連携のもと、特定のトレーニングフェーズで試合に似た強度のトレーニングを定期的に行います。これにより、ケガのリスクを最小限に抑えるながら試合の負荷に順応することができます。 ーKINEXON PERFORMでは様々なメトリクスが提供されています。どれが最も頻繁に使用されていますか。また、それはなぜですか? イリッド: 総距離はボリュームの指標として重要であり、相対距離(距離/時間)は強度を測定するのに役立ちます。特定のスピードゾーンにおける選手の時間と距離、およびそれらの相対割合を注意深くモニタリングしています。もう一つ重要なメトリクスは、加速、減速、ジャンプに関連する高強度の動作です。 私の博士論文では、これらの変数と全体的なパフォーマンスに及ぼす影響について詳細に分析しています。これにより、データをより総合的に理解し、選手の育成とパフォーマンスの最適化にどのように活用できるかを理解することができます。 ー具体的なメトリクスの使用例と、それによって得られる利点を教えてください。 イリッド: 例えば、高強度の動作、通常は距離、時間、または加速と減速の回数などとして言及されることがあります。これらの高強度の動作をトレーニングや試合中に追跡することで、バスケットボール選手が試合中に直面する身体負荷を把握し、その負荷にどのように適応しているかを把握することができます。 試合中に高強度の動作の回数が少ない選手を見つけた場合、その選手は十分なパフォーマンスを発揮していない可能性があります。これは適切なポジションでプレーしていない、エネルギーが不足しているなど、いくつかの要因によるものです。こうした場合、対象選手に対して的確なコーチングやトレーニング介入を行うことで対応できます。 一方で、高強度の動作の回数が多い選手がいる場合、彼らは自分自身を過度に追い込んでいる可能性があり、ケガのリスクが増す可能性があります。その場合は、トレーニング負荷を調整したり、休息や回復時間を増やすことで対応しています

閲覧数:310回0件のコメント

Comments


bottom of page