「世界で最も革新的なリーグ」と言われるNBAと、WNBAが新たなイノベーションを起こそうとしている。NBAは、現地時間8月17日に終えたばかりのNBAサマーリーグにて、ソニー社の『ホークアイ』を用いた実証実験を行った。WNBAもまた、同8月12日に行われた第一回コミッショナーズカップにて『ホークアイ』と最新鋭トラッキングシステム『KINEXON』を用いた新たなファン観戦体験の実現を目指し、実証実験を行っている。
米スポーツメディア『SVG』は、同8月19日に掲載した記事にて両リーグの取り組みについて以下のように纏めている。
▼NBAサマーリーグ:『ホークアイ』による試合運営の効率化
積極的な研究開発を継続するNBAは、『ホークアイ』とのパートナーシップを通して、試合運営の改良とファン観戦体験の向上を目指している。今季のサマーリーグでは、会場上方に設置された14台のカメラから選手の体部位18カ所(頭、両手、腰など)とボールをトラッキングする事で、ゲームフローの無駄な時間を排除し、試合運営の効率化を図る為の実証実験が行われていた。具体的には、コンピュータビジョンを用いた目視観察が難しい判定(ゴールテンディング、ショットクロックのリセット、得点後のゲームクロックの停止など)の自動化が主な目的だ。
テニスやサッカーでは、既に『ホークアイ』を用いたバーチャルリプレイによる判定が広く活用されているが、NBAも同技術の応用により、判定における正確性の向上、運営の効率化、更にはそれらが齎すファン観戦体験の向上を目指している。
▼WNBAコミッショナーズカップ:『ホークアイ』x『KINEXON』
WNBAは、NBAの『ホークアイ』による試合運営の効率化に加えて、同技術が生成する立体映像のハイライトをライブ中継に載せるという新たな試みを行った。更には、最新鋭トラッキングシステム『KINEXON』を用いたデータの可視化もライブ中継にて実施。選手のショートパンツに装着された小型ウェアラブルセンサーにより、ありとあらゆる動作をリアルタイムで計測し、最高速度、ジャンプ高や回数、スプリント回数、方向転換の速度や加減速などの“見える化”を実現させた。
コンピュータビジョンによる360度の立体映像と、高性能RFIDにより計測されるパフォーマンスデータの可視化という実証実験に成功した同リーグは、テクノロジーを活用した更なるファン観戦体験の改良を目指している。
【スポヲタ考察】
コンピュータビジョンやRFIDによるトラッキングテクノロジーは、チームやリーグにおける運営の効率化やファンエンゲージメントの向上としてはもちろんの事、データ分析によるパフォーマンスの向上や怪我のリスク軽減の分野でも大きな効果を齎している。
これら最先端テクノロジーの導入拡大は、ファンに新たな観戦体験を提供すると同時に、スポーツ全体のパフォーマンスレベルを向上させるポテンシャルがある。それが結果的に更なるファンエンゲージメントの向上に繋がり、好循環を生み出すのだ。スポーツ界全体の発展の為にも、今後このようなテクノロジーが世界中で幅広く活用されることに期待したい。
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