サン・アントニオ・カトリック大学(スペイン)のスポーツ科学研究者で、フィラデルフィア・76ersのヘッド S&C コーチや、八村塁が所属するワシントン・ウィザーズのアスレチックパフォーマンス・ディレクターとして従事したアダム・ペットウェイ氏とそのグループによる、世界トップクラスのアスリートを対象としたバスケットボールにおける身体活動の研究から以下の発見があった。
①トップレベルの選手であるほど、走行距離が少ない
【グループ分けの定義】
エリート:NBA/Gリーグ、NCAA ディビジョン I、ユーロリーグ、FIBA 国際大会、リーガACB、ヨーロッパ、南米、オーストラリア、アジアのトップディビジョンで活躍するアスリート
サブエリート:プロフェッショナルまたはセミプロで、エリートの基準を満たさないが19歳以上であるアスリート
ユース:19歳以下のアスリート
②トップレベルの選手であるほど、平均速度が低い
③トップレベルの選手であるほど、最大速度が高い
④トップレベルの選手であるほど、高強度動作・ランニングの回数が増える
⑤最後に
競技レベルが上がるにつれ、エリート選手はより高い最大速度とハイスピードディスタンス(高速度域でカバーした距離)を達成する一方、最小限のエネルギーで効率的なパフォーマンスを発揮する傾向にあることが、ペットウェイ氏らの研究(トップレベルであるほど、平均速度が低く、試合中にカバーする距離を抑えられていることから)で示されている。
エリートレベルのバスケットボール選手は、競技の戦術的な要求に対してより効率的であると同時に、必要な場面で求められるスピードや強度を発揮するための身体能力と体力を兼ね備えていると言えるだろう。
これらの知見は、バスケットボールにおけるゲームデマンド(試合における身体負荷)の評価や、エリート vs サブエリートといった異なる競技レベルのアスリートの動作プロファイルの定義付けにおいて、プラクティショナーの助けとなる可能性があるだろう。
Reference
Adam J. Petway, Toma´s T. Freitas, Julio Calleja-Gonza´lez, Daniel Medina Lea, Pedro E. Alcaraz. Training load and match-play demands in basketball based on competition level: A systematic review. 2020.
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