FanThreeSixty社は、スポーツファンの行動を分析する「ファナリティクス」という分
野において代表的な企業となった。彼らが提供する顧客データはリーグやチームにとって、
ファンを理解し、エンゲージメントを高めるために必要不可欠なものとなっている。
彼らは既存のファンデータに加え、それらによる予測モデルを掛け合わせた分析によって
、顧客がファン行動に関する改善をリアルタイムで行えるようにデータ提供を行っている。スポーツ観戦はライブイベントであり、リアルタイムでファン行動に関してアプローチ出来るか否かは、ファンの観戦体験をより良くし、ファン獲得やエンゲージメント向上のために非常に重要なポイントである。
そして、このポイントに注力していることが、「ファナリティクス」の分野において FanThreeSixty社が他社よりも優位にある理由でもある。 例えば、シーズン通して観戦に訪れるファンデータにおいて、3試合目を観戦しに行くか 否かが、「定着」か「離脱」の分岐点だとすると、彼らは2試合目を観戦に訪れたファン に対して、分岐点となる3試合目に訪れるよう、インセンティブを付与するなどのダイレ クトなプロモーションを行えるようにデータを提供するのである。 スポーツ業界においては未だ、データを用いたマーケティング活動が十分に行われている とは言えない。データを集めることが目的となってしまっている、あるいは、そもそも十分 にデータが集められていないなど、課題のフェーズはそれぞれではあるが、総じてデータを 活用し切れていないのが現状である。 適切なタイミングで、適切なターゲットに対して、適切な内容で、いかにアプローチ出来 るか否か。ファン獲得に必要な行動は全て、データから導くことが出来る。 FanThreeSixty社は、スポーツ業界にとってデータは新たな資産だと捉えており、正し く活用することによって大きな価値を生み出すと考えている。 <スポヲタ考察> 日本のスポーツ業界においても、データの活用は未だに不十分だと言えるだろう。それは チケッティングなど、クラブ運営の点だけでなく、試合映像の分析など、パフォーマンスの 現場においてもである。 データは正しく集めた上で、正しく活用することによって、初めて価値を生むことが出来
る。しかし現状では「リソース不足」、あるいは「知見不足」によって扱い切れていない
ケースが大半である。特に「知見不足」による弊害は大きい。データの扱い方がわからない
ため、データを集めることが目的化されてしまったり、そもそも扱い方がわからないなら集
めても仕方ないとなってしまったりという状況は少なくない。
FanThreeSixty社のようにスポーツ業界を支える企業が、サービスだけでなく、どのよ
うに活用して価値を生み出すかまで伴走することが、スポーツ業界におけるデータ活用では
必要な状況なのだろう。
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